内臓脂肪の蓄積によって、肥満・高血圧・糖尿病・高脂血症などの様々な生活習慣病が発症しやすくなった状態、ということができます。
内臓脂肪症候群とも呼ばれます。
ではなぜ内臓脂肪症候群がメタボリックシンドロームなのか?
詳しく知りたい方は以下を読んでみて下さい。
まず英語の意味です。
メタボリック(metabolic)という言葉。
これは、メタボリズム(metabolism=代謝)から来ています。
つまりメタボリックとは「代謝性の」ということ。
では「代謝」って何?となりますね。
何気なくよく耳にする言葉ですが、意外と何のことだか正確には理解されずに使われていることが多いようです。
「代謝」とは、「新陳代謝(しんちんたいしゃ)」とも言われますが、解りやすく言うと「生命活動の維持に必要な様々な物質の合成や分解の生化学反応過程のこと」 です。
食べ物などからエネルギーを得たり、必要な蛋白質や脂質などを合成したり、不要な物質を分解したり解毒したりと、生体が作り出した酵素を用いて体内で積極的に動かしている様々な化学反応が代謝に相当します。
物質が生体の中にあってもそれが勝手に反応して変化するものは代謝とは言えません。
細胞の活動として活動が代謝です。生命活動そのものと言っても良いでしょう。
さて、次のシンドローム(syndrome)です。これは難しい言葉ですね。
日本語では「症候群」のことです。
症候群とは、様々な症状が出る場合にそれを一まとまりに表す言葉です。
ある特定の病気が原因にあってそれがいくつかの症状を次々と、あるいは同時に出してくる場合に症候群と呼びます。
それでは、「メタボリックシンドローム」という場合の「メタボリック」は何の代謝か?
代謝には、蛋白代謝や核酸代謝など色々なものがありますが、ここでいうメタボリックとは糖や脂質の代謝のことを指しています。
すなわちメタボリックシンドロームとは、糖や脂質の代謝がうまくいかずに血液中や組織中に過剰に蓄積したり、他の物質を変質させたりすることで、様々な疾患を合併していく病的状態を表します。
近年、ガン・虚血性心疾患・脳血管障害は日本人の死因の約70%にものぼり、三大生活習慣病と呼ばれています。
特に、心筋梗塞などの虚血性心疾患、脳卒中などの脳血管障害は「動脈硬化性疾患」とも呼ばれ、これら2つを合わせるとガンの死亡率を超えて第一位になります。
動脈硬化性疾患による死亡例は現代人の生活環境の変化と密接に関係し、これからの高齢化社会に向けて大きな社会問題となっています。
そして、これらの疾患の根本的な原因となるのが、メタボリックシンドロームという、糖や脂質の代謝異常なのです。
メタボリックシンドロームの本体は内臓脂肪の蓄積であることがわかっており、それが糖尿病・高血圧症・高脂血症などの生活習慣病の元になります。
これらの生活習慣病のうち、いくつかが組み合わさることによって、恐ろしい心筋梗塞や脳卒中などの動脈硬化性疾患にかかるリスクが非常に高くなり、死亡率も上昇するのです。
日本では、2005年4月に日本内科学会が中心となって統一されたメタボリックシンドロームの診断基準が打ち出されました。
メタボリックシンドロームの診断基準は次のとおりです。
1の基準は必須項目です。
1にあてはまれば内臓脂肪型肥満で要注意。
さらに2から4のうち2つ以上に当てはまる場合、メタボリックシンドロームと診断されます。
なお、1の基準の腹部の周囲長は、内臓脂肪の腹部の断面積が100平方cmとなる目安とされています。
つまり、まず腹部の周囲径が男性なら85cm以上、女性なら90cm以上あり、さらに高血圧、糖尿病、高脂血症のうちの3つ以上があればメタボリックシンドロームと診断されます。
どうですか?あなたは大丈夫ですか?
今すぐ巻尺を出して腹囲を測ってみて下さい。
そして血圧計があれば血圧も測ってみましょう。
血圧がOKでも安心できません。
空腹時の血糖と中性脂肪は血液検査で必要ですからデメカルの検査キットを使って気軽に測ってみましょう。
デメカルなら思い立った時にすぐに申し込めてとっても便利。
病院に行く時間を作るのはなかなか大変ですからね。
さて、ではわが国のどれくらいの人々がメタボリックシンドロームに当てはまるのでしょうか?
厚生労働省の調査によると、現在の日本で40歳から74歳の人のうち、 940万人がメタボリックシンドロームの診断基準に該当し、 1020万人がメタボリックシンドロームの予備軍に当てはまります。
これは男性なら何と2人に1人、女性なら5人に1人という高い割合です!!
あなたが働き盛りの男性なら、50%の確率でメタボリックシンドロームです。
それだけ現代日本は成りやすい社会環境にあるということです。
一方、内臓脂肪とは、腹腔内に存在する脂肪組織です。
内臓脂肪は内臓と内臓のすきま、内臓の周囲にあります。
内臓脂肪とは、内臓を本来あるべき位置に正しく固定する役割があり、その意味ではある程度は必要なものです。
ところが、内臓脂肪は動脈や内臓のすぐ近くにあるため、脂肪組織が肥大すると、健康にさまざまな害を及ぼします。
たとえば、血液の中性脂肪値が高くなり、いわゆるドロドロ血の「高脂血症」、 内臓脂肪の影響によって血糖値が下がらなくなる「糖尿病」、そして「高血圧」「動脈硬化」なども発症します。
これらの症状は痛みや身体の異常などの自覚症状があまりないのですが、数年から数十年という時間をかけて徐々に進行し、ついには心臓や脳の血管を詰まらせる「心疾患(心筋梗塞・脳卒中など)」「脳血管障害(脳卒中など)」 を引き起こします。
内臓脂肪が多いタイプの肥満は「上半身型肥満」「リンゴ型肥満」とも呼ばれ、お腹が出っ張った体型で、男性に多く見られます。
また、見た目は太っていなくてもお腹だけがポッコリと出ている「隠れ肥満」の人もこのタイプに入る場合があり、健康面で注意が必要です。
(内臓脂肪)肥満・糖尿病・高血圧・高脂血症はメタボリックシンドロームが制定される以前から「死の四重奏」と呼ばれていました。
この4つの症状は単独で発症することは少なく、ほとんどの場合、いくつかが組み合わさって発症するからです。
しかも、組み合わさって発症することによって、心疾患や脳血管障害などの病気になるリスクが何倍にも跳ね上がります。
近年、心筋梗塞や脳卒中で死亡する人数が高くなっていますが、この大きな原因はメタボリックシンドローム、とりわけ内臓脂肪の蓄積が元凶なのです。
最近の研究により、「メタボリックシンドローム」と密接に関連しているタンパク質「アディポネクチン」が発見されました。
この「アディポネクチン」は、脂肪細胞自身が分泌している善玉のアディポサイトカインです。
次にアディポネクチンの働きについてご説明します。
大阪大学分子制御内科学教室で脂肪細胞について研究を行っていたところ、脂肪細胞で分泌されている未知の物質を発見しました。
この物質は「アディポネクチン」と名付けられ(アディポとは“脂肪”という意味です)、標準的な体格の人の血液中には多く存在し、内臓脂肪が増加すると、反対にアディポネクチンは減少することが明らかになりました。
アディポネクチンは体の中で、どのような働きをしているのでしょうか。
どんな人でも、普段からタバコや血圧、血糖値の上昇、血中脂質、悪玉のアディポサイトカインなどによって血管が少しずつ傷つけられています。
血液中を流れて全身を巡っているアディポネクチンは、血管が傷ついているところを見つけると、すばやく入り込んで修復します。
アディポサイトカインには、“善玉”といわれるアディポネクチンやレプチンなどや、“悪玉”といわれる腫瘍壊死因子(TNF-α)、レジシチン、遊離脂肪酸、PAI-1、アンジオテンシノーゲンなどがあります。
善玉アディポサイトカインは、インスリン感受性を高めて糖尿病を予防し、血管内皮細胞に作用して抗動脈硬化作用があります。
悪玉アディポサイトカインは、逆に糖尿病や動脈硬化を促進します。
内臓脂肪の蓄積は一個一個の脂肪細胞が肥大化することを意味します。
脂肪細胞が小型の状態では“善玉”アディポサイトカインが分泌されやすくなり、脂肪細胞が肥大化するに伴い“悪玉”が分泌されやすくなります。
有酸素運動にて内蔵脂肪をエネルギーとして燃焼させることにより、肥大化した脂肪細胞が小さくなり、アディポネクチンの分泌量が増加します。
逆に、血栓の原因の一つであるPAI-1の血中濃度が減少します。
血中アディポネクチン濃度の増加によりにインスリン感受性は改善され、さらに筋肉運動にて血中ブラディキニン濃度の増加や筋肉内MAPKの増加によりブドウ糖の筋肉内取り込みが促進され、糖代謝機能の改善が期待できます。
動脈硬化予防や糖尿病予防には、毎日、たとえ10分間でも脊椎ストレッチウォーキングを行うことが大切と言えます。
脂肪細胞は過剰エネルギーの“貯蔵庫”という役割のほかにも、さまざまな生理活性物質を分泌する“内分泌細胞”としての役割をもつことがわかってきました。
この脂肪細胞から分泌される生理活性物質を総称して「アディポサイトカイン」といいます。
“アディポ”というのは脂肪という意味です。
アディポサイトカインには、動脈硬化を予防する「善玉アディポサイトカイン(アディポネクチン)」と、動脈硬化を促進させる「悪玉アディポサイトカイン(PAI-1やTNF-αなど)」があります。
正常な状態では、これら善玉・悪玉アディポサイトカインの分泌はバランスよく保たれていますが、内臓脂肪が蓄積した状態では、不思議なことに善玉アディポサイトカインの分泌量が減り、悪玉アディポサイトカインが過剰に分泌されます。
この分泌の乱れが生活習慣病を招き、動脈硬化を進展させると考えられています。
悪玉アディポサイトカインの一つ、TNF-αは、インスリン抵抗性を強めてしまいます。
インスリンは糖を細胞内の取り込ませる際に必須のホルモンですが、インスリン抵抗性とはインスリンの作用が出にくくなるということです。
即ち、TNF-αが血中に増えると血糖値が下がりにくくなり、糖尿病を誘発しやすくなるのです。
また、TNF-αは炎症に関わる好中球(白血球の一つ)や血管の内皮細胞を刺激し、血管内の炎症を引き起こす原因にもなり、それが動脈硬化を促進します。
もう一つの他の悪玉アディポサイトカインであるPAI-1の作用を説明します。
私たちの体は、血管の中で不要な血液の塊(血栓)が出来ても自然に溶かしてキレイにする働きを持っています。
その中心的役割を果たしているのがプラスミンです。
PAI-1はプラスミンが生産されることを妨げるので、PAI-1が増加すると有害な血栓を溶かす能力が下がり、血栓が拡大しやすくなります。
内臓脂肪蓄積に伴い脂肪組織でのPAI-1遺伝子発現量が増加し、血中PAI-1濃度も上昇する事が確かめられています。
それまで、血中PAI-1のおもな産生場所は肝臓であると考えられていましたが脂肪蓄積に伴い、肝臓が作る以上の量が内臓脂肪から作られることが解りました。メタボリックシンドロームにおけるPAI-1の役割は非常に大きいと考えられています。
メタボリック シンドロームは生活習慣が密接に関係しています。
ですから、生活習慣をちょっと改善するだけで、内臓脂肪を減らし、メタボリック シンドロームを防ぐことができるのです。
ただし、三日坊主では目的を達成できません。
まず、あなたの生活習慣を振り返ってみましょう。
当てはまる項目が多い人は要注意です。
簡単なところから改善していきましょう。
あなたはこんな生活をしていませんか?
内臓脂肪がたまりやすい食事は、高脂肪食(油っこいもの)、高しょ糖(甘いもの)、高カロリー食(カロリーが高いもの、食べ過ぎ)、低繊維食(緑黄色野菜の不足)です。
また、濃い味付けは塩分をとり過ぎるだけでなく、食べ過ぎを招きます。
バランスの良い食事と腹八分目、これがメタボリックシンドロームにならない秘訣です。
運動は内臓脂肪を減らすのに大変有効な方法です。
運動は持続させなければ効果が上がりません。
一番簡単な方法は歩くことです。
ジムに行かなくても、歩く場所はあなたの周りにいつでもあります。
ヨーロッパの古い諺に「二本の足は二人の医者」というのがあります。
私たちは日頃なにげなく歩いていますが、それにはさまざまな健康上の効果があるからです。
歩行によりからだ全体の筋肉の約半分が使われます。
したがって、相当の運動量になり、消費されるカロリーも大きいわけです。
歩行は一定の強さの運動が一定の時間続きます。
これは健康のためのスポーツが持つべき大切な条件の一つです。
歩行は体調に合わせて自由にコントロールでき、マイペースで運動ができるスポーツです。
酸素を運動のエネルギー源として使う典型的な有酸素性運動です。
この運動は心臓や肺に負担をかけず、しかもその働きを向上させる効果があります。
日本人の1日の平均摂取カロリーは約2200kcalです。
そのうち生命維持に約1300kcal、仕事や生活などに約600kcal使われます。
差し引き300kcalが余剰として残ります。
こういう単純な考え方が、健康スポーツの一つの目安にされています。
1日1万歩、時間にして合計1時間くらいというのが大まかな目標です。
歩幅はだいたい「身長-100」cmくらい(大股に歩くと「身長-90」)で、1万歩以上歩けば、エネルギー消費が約300kcalになり、1日の平均余剰カロリーにちょうど相当します。
ウエストを減らすことが大切です!!
内臓脂肪を減らせば、心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化疾患の予防につながります。
この機会にウエストをチェックしてください!!
メタボリックシンドロームの診断基準には含まれていませんが、実は尿酸値もメタボリックシンドロームと密接な関係があることがわかってきました。
大阪府立成人病センター臨床科の中島弘部長は「内臓脂肪の蓄積、アディポネクチンの分泌減少は尿酸の代謝にも影響し、高尿酸血症の引き金になる。つまり尿酸値もメタボリック症候群の指標になる」と話します。
従来は、尿酸値が高くても痛風の激しい痛みの発作がないと本人も医師も軽視し、痛風になってから薬で尿酸値を下げる治療が多かったようです。
中島部長は「約600万人と推定される高尿酸血症の多くは生活習慣病が原因。まず食生活と運動不足を改善して尿酸値を下げることを目標にしてほしい」といいます。
つまり、すぐに薬で尿酸を下げようとするのではなく、その原因の一つとなっているメタボリックシンドローム、即ち内臓脂肪を減らす努力をするべきであるというわけです。
また、ウエストのサイズがメタボリック症候群の診断基準より小さくても、内臓脂肪が多いと尿酸値が高くなってくることがあります。
中島部長は「定期的な健康診断で尿酸値が上がってくれば、メタボリック症候群に先行する注意信号と考えられる」とアドバイスします。
診断基準の作成委員長を務めた松沢院長は「血糖、血圧、尿酸など個別の数値だけを意識し、薬で下げるのは川の下流で洪水を止めようとする対症療法。最も重要なのは、上流にある根本原因の内臓脂肪を減らすことだ」と指摘します。
「そのために生活習慣を改善することを患者が意識し、その効果をウエストサイズなどの変化で実感できるよう、分かりやすいメタボリック症候群の診断基準を提唱したい」と話しています。
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